新型コロナの世界的な大流行により、多くのアパレルショップが臨時休業。
また、外出自粛要請により、店舗での売上は大幅に減少。
大手アパレルメーカーでは現在、ブランドの撤退や大量閉店に追い込まれています。
そこで今回は、新型コロナのパンデミックで大量閉店を発表した、大手アパレルメーカーをまとめてみました。
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”新型コロナのパンデミックで大手アパレルメーカーが大量閉店を発表!”
1200店舗を閉店「インデックス」
6月9日、ザラ(ZARA)を運営するインデックスは、全体の16%にあたる約1200店舗を閉店すると発表。
新型コロナ感染拡大により、グループ店舗の88%を臨時休業しました。
そのため、2020年第1四半期の総売上高は、前年同期比44%減となりました。
同社は、H&Mやギャップ、ユニクロを運営するファーストリテイリングなど大手の中でも、年間売上3兆円を超える、世界最大のアパレルメーカー。
今回の大量閉店の発表で、業績不振説も流れましたが、これまでの施策をさらに加速させた“既定路線”とも言われています。
なぜなら、同社のオンライン販売の売上高は、前期比が23%増加。
4月の前年同月比も、95%増加しています。
そして今後3年間で、店舗とオンラインストアの完全な統合を目指し、約1200億円を投資して、デジタル化が進められています。
ネット注文で、店舗で受け取る「クリック&コレクト」や、返品サービスを加えた大型店を、一等地に構える戦略も打ち出しています。
また、オンライン向けの顧客サービスを充実させるため、人員も拡充していく予定です。
700店舗を閉店「オンワードHD」
オンワードHD(ホールディングス)は2021年2月までに、国内外の約700店舗を閉店すると発表。
ならびに、メンズブランド23区 オム(23区HOMME)が、2020年春夏シーズンをもって休止します。
23区オムは、同社の主力ウィメンズブランドの「23区」から派生する形で、1995年にスタート。
同社を代表する
J. プレス(J.PRESS)・五大陸・ジョゼフ(JOSEPH)などに並ぶ主力ブランドでした。
40代以上の男性をターゲットに、品質にこだわったスーツやシャツ、パンツなどを展開。
フォーマルからカジュアルまで、幅広く提案してきました。
同社は、創業以降、百貨店での店舗展開で急成長。
しかし、バブル崩壊以降から続く百貨店不況と、新型コロナの感染拡大が重なり、2020年3月の店舗の売上は、前年同期比3割減となりました。
一方で、ECの売上は45%増と伸びました。
同社は今後も、リアル店舗の売上が、長期低迷すると予想。
それをカバーするため、現在デジタルシフトを、3倍速で進めています。
2020年2月期のEC売上高は、前期比30.6%増の333億円でした。
2021年2月期には、500億円、中期的には1000億円の目標を掲げています。
同社は、売上高の半分以上をECで稼ぐ企画・生産機能を持ったEC業というくらいの思いで、デジタルトランスフォーメーションを強化していきます。
358店舗を閉鎖「ワールド」
ワールドは、来年の3月までに、全体の15%にあたる、358店舗を閉鎖すると発表しました。
ならびに、同社ブランドの
ハッシュアッシュ・サンカンシオン(HUSHUSH 3CAN4ON)
アクアガール(AQUAGIRL)
オゾック(OZOC)
アナトリエ(ANATELIER)
などを撤退。
358店のうち、ブランド終了に伴うものは214店舗。
残りの144店は、継続ブランドの低収益店が対象で、2021年度中に閉店します。
加えて、40歳以上の社員を対象に、希望退職者200人を募集。
グループ全体では、2021年3月期は最終赤字への転落を予想(2020年3月期は純利益80億円)しています。
同社では、2022年3月期以降の確実な復活と、次の成長フェーズへの移行を図るため、大規模な事業の選択と集中、改革のスピードを加速するとしています。
例えば、ショールームとして、大都市にだけ店舗を置き、あとはECに全面シフトする。
また、イベント拠点などの情報発信機能として、必ずしもモノを売る場所ではない形にする。
ただし、後者のようなコト消費の発信基地を構築して運営していくためには、幅広で奥行きの深いソフトの蓄積が重要。
タレント性に溢れる人材も必須であり、ごく一部の高感度企業にしか、実現することは難しいとも述べています。
※新型コロナ禍で経営破綻したブランドに関しましては
をご覧ください。
まとめ
新型コロナの感染拡大により、日本のアパレル業界は、大きな転換期を迎えている。
今後、大手アパレルメーカーが生き残るには、実店舗とECサイト(アプリを含む)のデータを一元化する”オムニチャンネル”などの、敏速なデジタルシフト化が、キーポイントとなるでしょう。