6月18日から公開中の映画「グリード ファストファッション帝国の真実」を観にいってきました!
内容は、人気ファストファッションブランドの経営者の栄光と転落と同時に、服が低価格で買えるようになった背景には、どんな問題が起きているのか?
ブラックユーモアを織り交ぜ、社会派ドラマの作品になっています。
今回は、映画の内容と感想をまとめてみました。
映画「グリード ファストファッション帝国の真実」を観賞!
主人公リチャード・マクリディとは?
主人公のリチャード・マクリディのモデルは、イギリスのファストファッションブランド「TOP SHOP」を擁するアルカディア・グループの代表フィリップ・グリーン。
TOP SHOPは、日本で2006年9月に、東京のラフォーレ原宿にショップをオープン。
2008年からは、森ビル系列の日本企業がフランチャイズ形式で全国展開しました。
この映画の日本版のポスターでは、ドヤ顔でランウェイを闊歩するリチャードを、オーディエンスが拍手で迎えています。
しかし、良く見ると観客に笑顔はありません。
“誰もが羨む成功者だと思っているのは、当の本人だけ!”という痛烈な風刺を込めたビジュアルになっています。
映画の展開は、グリード(強欲)な経営手腕のリチャードが、業界で頂点に上りつめるまでの半生。
事業を始めた当初は、倒産を繰り返しますが、ファッション性の高いアイテムを比較的手頃な価格で提供したり、人気モデルの起用で、話題を呼び成功していきます。
しかしその裏では、強引な交渉術で、途上国の縫製工場の従業員を低賃金で働かせ、さらに工賃の引き下げも工場に要求。
自身のブランドの利益のみを追求し「服は金の卵を産むガチョウだ」と発言しています。
部下にもパワハラ三昧で、リチャードのファッションへの愛は、全く感じられません。
また、イギリス当局からの、金融取引の不正疑惑や、縫製工場での劣悪な労働問題などを追及されるシーンでは「俺は悪くない!」とまったく反省する様子はありません。
そして、こうしたイメージの挽回を狙って企画した、自身のギリシャ・ミコノス島での還暦パーティーの準備シーン。
映画「グラディエーター」のような、古代ローマの円形競技場を建設し、人間とライオンを格闘させるという演出を計画。
巨額なギャラでハリウッドセレブなども、招こうとします。
しかし、実際に出席する事になったのは?
映画終盤のパーティー当日には、リチャードに最大の悲劇が待ち受けています。
エンドロールではAbbaの「マネー、マネー、マネー」の曲と共に、ファッションの製造現場の一例として
縫製工場の労働者は
8割が女性
ブランド服の縫製の報酬は
1日4ポンド
バングラデシュの女性の報酬は
1日10時間労働で2ドル84セント
ブランド10社の企業価値は
1500億ドル
などのデーターが流れ映画は終わります。
この映画のモデルとなった「TOP SHOP」ですが、2015年には日本を撤退。
昨年には、新型コロナ流行の影響を受け、経営破綻します。
映画を観た感想
ファッションの映画ですが、華やかなシーンは、ほとんどありません。
フェアトレード問題や難民問題、格差問題についても盛り込まれていますが、ブラックエンターテーメントのせいか、ひとつひとつの問題が、薄っぺらく感じられました。
結末の事件についても、あっさり片付けられていて、モヤモヤ感の残る作品です。
現在、日本人が着ている服の約98%が海外製。
低価格で服が買えるようになった現状を、多くの人に知ってもらうには、良い映画だと思います。
成金で傲慢なリチャードを演じた、イギリスのカリスマ的コメディ俳優、スティーブン・クーガンの演技も良かったです☆
※フェアトレードに関しましては
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