ファッション業界は、石油産業に次いで世界で2番目の、環境汚染産業と言われています。
しかし、日本で販売されている衣料品の98%は海外からの輸入なので、ファッション業界の社会課題について、知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、これだけは知っておきたい!
ファッション業界の社会課題を、わりやすくまとめてみました。
Contents
これだけは知っておきたい!ファッション業界の社会課題まとめ
1.CO2の大量排出問題
・CO2の排出量が増加
国内で1年間に供給される、衣料の製造から廃棄までの工程で排出される二酸化炭素(CO2)は、推計で9500万トンに上ります。
世界的な衣料の過剰生産、過剰消費、過剰廃棄のサイクルにより、ファッション業界は全産業の約10%ものCO2を排出しています。
これは、航空業界と運送業界の合計を越える数字です。
また、衣料を廃棄、焼却処分する際には、燃した分だけの有毒ガスも発生しています。
2. 土壌や河川の汚染問題
・綿花の栽培時に殺虫剤を大量使用
世界中でわずか3%の作付面積にすぎない綿花畑が、約15%の殺虫剤を使用し、土壌汚染を引き起こしています。
・染色時の化学物質による水質汚染
生地の染色時の化学物質を使用した汚染水が、そのまま水路や川に流れ、水質汚染を引き起こしています。
とくに淡水の汚染では、原因の約20%が繊維産業の染色によるものです。
3.海洋汚染問題
・マイクロファイバーの海洋流出
合成繊維から発生するマイクロプラスチックを、マイクロファイバーと呼びます。(ファイバー=繊維)
たとえばマイクロファイバーのフリース1枚からは、1回の洗濯で何百万本もの繊維が抜けたという、実験結果があります。
また、6kgのアクリル布地からは、70万以上の繊維が放出されると推定されています。
洗濯によって抜け落ちたマクロファイバーは、河川に流れ込み、海へと至ります。
このマイクロファイバーが海洋生物に飲み込まれ蓄積していくことで、海洋生態系になんらかの影響を及ぼす可能性が指摘されています。
4.資源の水・石油の大量消費問題
・水の大量消費
繊維業界は、綿花の栽培時に大量の水が必要で、1kgのジーンズ1本分の綿を生産するには、1万リットル以上の水が必要です。
これは、1人分の飲み水10年分を、消費することを意味しています。
また、染色時に必要な水は、1年間でオリンピックの競技用プール200万杯分に相当します。
・石油の大量消費
繊維の中でもエネルギーを使うのが、ナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維です。
合成繊維は石油から成分を取りだすので、原料として石油が使われています。
2015年には9800万トンでしたが、2050年には3億トンの石油を消費することが予想されています。
5.労働問題
・製造工程での劣悪な労働環境
安い服を購入できるようになった背景では、発展途上国の縫製工場で働く人の、低賃金、長時間労働などの問題が起こっています。
ファッション業界の最低賃金は、生活賃金の2分の1の額。
また、インドやフィリピンなどの国では、ファッション業界における労働者のうち50%以上が、法的最低賃金すら受け取ることができていません。
これらの問題に対し、製造工程における責任、および情報開示がファッションメーカーに厳しく求められています。
今回は、ファッション業界の社会課題についてまとめてみました。
この他にも、リアルファーの問題や紛争ダイヤモンド問題など、ファッション業界には多くの社会課題があります。
こうした社会課題は、長年の私たちの無関心さが原因のひとつだと考えています。
自分の着ている1枚の服が、環境にどんな影響を与えているのか?
また、どこの国でどんな人が、どんな環境で作ってくれているのか?
サステナブルなファッションのためにも、まずは関心を持つことが必要です。