あなたが今着ている服の情報を、いくつ知っていますか?
タグに表示されているブランドや製造国。
素材やサイズ、購入したお店やサイトなど。
でも、素材の原産地に縫製工場、在庫が管理されている場所など、解らないことの方が多いですよね。
ちなみに「MADE IN JAPAN」と表示されていても、すべての工程が日本国内で製造されているとは限りません。
このような、不透明な部分を無くし情報を開示するのが、トレーサビリティです。
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トレーサビリティのアパレル業界での必要性
トレーサビリティ(Traceability)とは?
トレーサビリティ(Traceability)は、「トレース(Trace)追跡」と「アビリティー(Ability)能力」
という言葉を合わせ造語です。
商品の生産や流通過程が、追跡可能であること。
また、生産や流通の履歴を正確に記録したり、管理するシステムのことを言います。
トレーサビリティを導入すると、様々な工程が明確になり、何か問題が起きた時に素早く原因を追究することができます。
日本では以前、牛肉のBSE問題や食品の産地偽装・消費期限切れ食品の販売などが、大きな社会問題になりました。
その後、食の安全に対する消費者のニーズが高まり、食品の分野でのトレーサビリティが浸透しました。
そして、アパレル業界でも、ある事故をきっかけに、トレーサビリティーの必要性が一気に高まったのです。
アパレル業界史上最悪!ラナ・プラザ崩壊事故
2013年、バングラディッシュの縫製工場が入ったビル、ラナ・プラザが突然崩壊。
工場で働いていた従業員、1134人が死亡、2500人以上の負傷者が出る大惨事となりました。
事故により、浮き彫りになったのが、グローバル展開するアパレルメーカーの現状です。
従業員達は、劣悪な環境と安価な賃金で働かされ、メーカー側が大きな利益を上げていることが、明るみになりました。
そして、労働者の安全や生活を守るためにも「アパレル業界は、生産背景を明確にすべきだ!」という声が世界中で上がったのです。
トレーサビリティによる透明性が信頼に繋がる
このラナ・プラザ倒壊事故をきっかけに、アパレル業界の透明性と持続可能性を高め、労働環境を改善するべく、2013年に民間団体『Fashion Revolution』が発足されました。
毎年、世界のアパレルブランド200を対象に、ファッションの透明性の調査を発表しています。
これまで、サプライヤーに関する情報は、重要な企業秘密とされてきました。
しかし、どこで作った素材を使用しているのか?
どの工場で縫製されたものなのか?
など、情報を開示することで、自社の商品が安全である理由が具体的になります。
そして近年の調査では、2つ同じ商品があったら、消費者は曖昧な商品よりも明確な商品の方を、安心感をもって購入することが分かりました。
トレーサビリティを徹底している企業は、顧客満足度や信頼度も高くなります。
そのため、サプライヤーに関する情報を開示する企業も、年々増えてきています。
トレーサビリティを充実させることは、アパレル業界で働く人の人権を守ると共に、消費者の安心や信頼につながります。