東京・岩波ホールで公開された映画「メイド・イン・バングラデッシュ」を観てきました!
日本でバングラデッシュの映画が劇場公開されるのは、本作が初めて。
今回は映画のあらすじと、現在、世界の繊維産業を支えているバングラデシュについて、深掘りしていきたいと思います!
※ファッションの社会課題をテーマにした映画はこちらから
をご覧ください
Contents
アパレル産業の労働問題を考える映画「メイド・イン・バングラディシュ」
映画のあらすじ
縫製工場で働く一人の女性労働者が、劣悪な労働環境を改善すべく、仲間の抵抗や夫の反対などにあいながらも、諦めずに彼らを説得し、一方で労働法も学んでいきます。
そして仲間と共に立ち上がる実話に基づいたヒューマンストーリーです。
監督のルバイヤット・ホセインは、バングラデシュで数少ない女性監督のひとり。
彼女が3年以上のリサーチを経て完成させた本作は、10代半ばからバングラデシュの労働闘争に関わってきたダリヤ・アクター・ドリの実話をもとにした物語となっています。
バングラデッシュには、ユニクロやZARA、GAPなどのブランドの下請けの縫製工場があります。
私たちの身近な服が、どんな環境で作られているのか?
安価な衣類の生産がいかに、バングラデッシュの女性たちの犠牲の上に成り立っているのかが、映し出されています。
そして貧困や教育、ジェンダー、夫婦関係など日本社会とも通ずる問題も提示しています。
ストーリーの内容が重たいように感じますが、活気ある首都ダッカの街や、辛い環境に追い込まれながらも、力強く生きる女性のパワーを感じられる作品になっています。
また、女性が着ている民族衣装の、色や柄のコーディネートはとても華やかで、ヒジヤブを手際よくおしやれに巻いているバングラデッシュの女性がとても印象的でした。
映画を通して、バングラデッシュがどんな国なのか?
とても興味が湧いてきました~!!
そこで
バングラデッシュ共和国とは?
バングラデシュはインド、ミャンマーに隣接する国で、国土は日本の40%ほどですが、人口は約1億6000万人(世界8位)で世界屈指の人工密度を誇る国と言われています。
とくにダッカは、100万台のリキシャ(人力車)が行き交い、非常に混雑した都市です。
そして人口の9割がイスラム教徒で、98%がベンガル民族です。
1971年にパキスタンから独立した際には、日本は西側諸国の中でいち早く国家承認をし、インフラ整備の支援を行うなど、バングラデッシュとは友好関係を築いています。
以前はアジア最貧国とも呼ばれたバングラデシュですが、2018年には、経済成長率が7.9%と高い数字になりました。
経済を主に支えているのは、農業と映画の題材となった縫製産業。
輸出品の80%が繊維製品で、大きなウェイトを占めています。
ダッカ周辺には縫製工場が3000社以上もあり、多くの若い女性が、家庭の貧困を理由に農村部から都市に移住し、家計の足しにするために働いています。
ではなぜ、バングラディッシュで縫製産業が発展したのでしょうか?
縫製産業が発展した理由とは?
➀イギリス人が着る服を作る縫製工場が古くからあった
バングラデッシュの人は手先が器用であり、イギリスの植民地時代から、織物やニット製品を作り、イギリス向けに輸出していました。
ダッカから近いナラヤンガンジ地区は「ニットの聖地」と呼ばれ、非常に良質な生地をつくることで知られています。
②人件費が安いく、労働者が集まりやすい
人件費は中国の3分の1ほどで、同じく人件費の安いミャンマーやカンボジアに比べても、圧倒的に人口が多く、働き手が集まりやすい。
とくに、2000年位からファストファッションの流行により安い人件費を求め、グローバル企業が押し寄せました。
➂輸出に欠かせない港がある
国全体がガンジス川などのデルタ地域に位置し、船舶による製品の輸出がしやすいこと。
最後に
過去を振り返れば日本の経済成長を支えていたのも、縫製産業です。
私が今回の映画で思い出したのは、子供の頃に観た日本映画『あゝ野麦峠』
実話をもとに、明治中期から昭和初期にかけて、家計助けるために長野県の中小製糸工場で低賃金、長時間労働などの過酷な境遇の少女たちの姿を描いた作品です。
令和になっても、ひとの手が必要な縫製産業は、安い人件費を求められ、後進国では同じような悲劇を辿っています。
安価な服を手にできるようになった消費者の私たちには何ができるのか?
経済発展や女性の社会進出も重要ですが、人生の幸せとは何なのか?
いろいろ考えさせられる作品でした。
※映画「メイドインバングラデッシュ」のHPはこちらから
http://pan-dora.co.jp/bangladesh/#body