食の世界ではヴィーガン料理が話題になっていますが、ヴィーガンレザーについてはみなさん知っていますか?
環境問題や動物愛護への意識が高まるなか、アパレル業界ではリアルレザーに代わる、新時代のヴィーガンレザーが誕生しています!
そこで今回は、新時代のヴィーガンレザーについて解説したいと思います。
でも、その前に!!
そもそも、ヴィーガンレザーって何なの?
と思っている方も多いので、簡潔にまとめてみました。
Contents
新時代のヴィーガンレザーはエシカルでサステナビリティ
ヴィーガンレザーとは?
“ヴィーガンレザー”とは
「本革のような見た目や質感で、なおかつ動物質の部分を使っていない生地のこと」
を言います。
ちなみに、みなさんが使っているレザー(革)には、大きく分けて3つの種類があります。
- 天然皮革・・・牛、豚、羊など動物の皮からできている物(動物由来)
- 合成皮革・・・化学繊維を織ったり編んだり加工して作られた布(石油由来)
- 人工皮革・・・化学繊維を織らずに立体的に絡め、特殊加工が施された不織布(石油由来)
つまり、フェィクレザーと呼ばれている、合成皮革や人工皮革もヴィーガンレザーです。
だったら、ぜんぜん新しくないじゃない~
そう思いますよね!
では、新時代のヴィーガンレザーとの違いを見てみましょう。
これまでのフェィクレザーのほとんどが”石油由来”です。
石油由来の物は、捨てると自然分解しないため、焼却処分されます。
この焼却処分によって発生する二酸化炭素(CO2)により、地球温暖化など、環境に悪影響を及ぼしています。
現在、衣料などの大量廃棄処分問題は、アパレル業界の大きな課題となっています。
これに対し、新世代のヴィーガンレザーは、植物由来で廃棄されていた物をリサイクルし、使用後も土に還る素材。
つまり、エシカルでサステイナビリティなヴィーガンレザーであることが特徴です。
それでは、新時代のヴィーガンレザーを見てみましょう!
※エシカルにつきましては
をご覧ください
廃棄された、パイナップルの葉の繊維でつくる革「ピニャテックス」
ピニャテックスはイギリスのロンドンにあるアナナス・アナム社が開発しました。
開発のきっかけは、創業者がレザーグッズ製作の仕事をしていた時のこと。
原料調達のため、フィリピンを訪れた際に目にしたのは、多くの動物を殺してまうことはもちろん、水の汚れや、悪臭。
環境に悪い影響を与え、そこで働く多くの人々が、病気になっていました。
この現状に「なんて持続可能ではないんだろう」と感じました。
また、フィリピンでは300年前から、パイナップル繊維を使った編み物があり、この歴史ある産業を発展させることができないか?
と考えていました。
その思いを胸に、約10年の歳月をかけてピニャテックスを開発します。
まず、ピニャテックスを1平方メートル作るには、約480枚のパイナップルの葉が必要になります。
これはパイナップルの樹の、約16本分です。
パイナップル農家では、まず、これまで廃棄していた葉を売ることで、新たな収益が得られようになりました。
そして、繊維の生産工程で残った資源は、肥料として農場で使用。
ピニャテックスの開発により、フィリピンでは、動物を一切殺さず、雇用が産まれ、廃棄物も減りました。
エシカルで、サスティナブルなビジネスモデルです。
ピニャテックスの素材は、革というよりも紙や不織布、フェルトに近い質感や性質が特徴。
2019年には、ラグジュアリーブランドのシャネルが、ピニャテックス製の帽子を発売し、話題になりました。
※ピニャテックスのカバンやお財布を販売しているブランド
LAERSTERENN(ラエステレン)
廃棄されるリンゴの芯や皮からつくる「アップルレザー」
※画像「Sampla」のアップルレザーを使用したスニーカ
アップルレザーを開発したのは、イタリアのアップルスキン(Apple Skin)社です。
アップルレザーは、イタリア北部の世界有数の、リンゴ産地の果樹園から生まれました。
このリンゴの産地では、年間約220万トン以上のリンゴが収穫されます。
しかし、そのうちの7万トン以上のリンゴが廃棄・投棄処理され、異臭の原因にもなっていました。
アップルスキン社は、この廃棄されるリンゴを有効活用したいと考え、最初は紙製品(アップルペーパー)を開発。
その後、研究を重ね、アップルレザーが誕生しました。
このアップルレザーは、廃棄される芯や皮を粉末状に加工したものを、ポリエステルで固めます。
そして、その上からコットンポリエステル地をコーティングすることで、レザー調に仕上げられています。
また、表面の樹脂層には、粉末状のアップルパウダーが、30〜40%含まれています。
アップルレザーの特徴は、見た目や質感が本革に近く、通気性が良くて軽量。
水に強いなどの実用性にも優れています。
2019年にはフォルクスワーゲンが発表した、電気自動車のシートに、アップルレザーが採用されています。
日本でも、アップルレザーを使用した製品はあるのでしょうか?
アップルレザーを使用した日本のブランドは?
LOVST TOKYO(ラヴィストトーキョー)はアップルレザーのバッグやカードケースを始め、植物由来のレザーアイテムのフルーツや野菜をアップサイクルした商品を展開する、ライフスタイルブランド。
LOVST TOKYOには『LOve(愛を持って) + Vegan/Variety(ヴィーガンのような多様な価値観を)+ 1ST(一番に尊重できる文化を)+ TOKYO(東京から発信していく)』という意味が込められています。
環境に配慮した素材だけでなく、ファッション製や機能性などにもこだわり、モノつくりをしているのが魅力です!
LOVST TOKYOの公式サイトはこちらから
https://lovst-tokyo.com/?aff=8
今回はヴィーガンレザーについて解説しましたが、いかがでしたか?
この他にも、昆布の繊維から作るオーシャンレザーや、マッシュルームが原料の培養レザー(ムスキン)なども開発され、商品化されはじめています。
今後はどんなヴィーガンレザーが誕生するのか?目が離せないですね!
※最新のサステイナブル素材に関しましては
をご覧ください