7月1日から始まった日本でのレジ袋の有料化。
身近な所で、サステイナブルな未来のために、生活様式も変化しています。
そして大量生産による、大量廃棄やCO2排出の問題が深刻なアパレル業界。
再生利用できるサステイナブルな素材の開発により、その需要も高まっています。
※サステイナブルにつきましては
をご覧下さい。
そこで今回は、サステイナブルな素材開発の最前線を、お伝えしたいと思います!
Contents
”サステイナブルな素材の最前線!服から服のリサイクルに人工タンパク質”
服から服へのリサイクル!レニュー(RENU)
現在、世界の繊維生産の約半分を、ポリエステルが占めているのをご存知ですか?
ポリエステルを再利用できれば、生地の約半分がリサイクルできるのです。
しかし、ポリエステルのリサイクルと言えば、使用済みのペットボトルを原料にするのが一般的でした。
それが現在、伊藤忠商事と中国の繊維会社の提携で、複数の素材が混ざった衣料品でも、ポリエステルのみを取りだすリサイクルが可能になったのです。
プロジェクト名は「レニュー」
早速、レニューでのリサイクル方法を解りやすく解説します。
①ポリエステルを含む古着や、生産時に出る端切の生地を回収。
②工場で粉砕します。
➂独自に配合した薬品で、ポリエステルを溶かします。
④チップと呼ぶ、微細な粒子に分解して取り出します。(再生前の色は落ちる)
⑤このチップを繋ぎ合わせて糸に。
⑥糸から生地にします。(新品同様、染められる)
⑦生地を製品にして、マーケットなどで販売します。
この①から⑦の工程を繰り返せば、生地を半永久的に、使い回せる仕組みです。
因みに、生地を見てもリサイクルした生地だとは、分かりません。
現在この生地は、環境に配慮した製品を展開している、ファストファッションのH&Mや、ハンティングワールドなどに供給しています。
服から服へのリサイクル!
値段が少し高くても、再生可能なファッションで有れば、消費者も安心して購入できますよね。
クモの糸が発想の原点!人口タンパク質繊維
画像はムーン・パーカ(MOON PARKA)
2019年12月、世界初の人工タンパク質の繊維を使ったダウンジャケット「ムーンパーカー」がノース・フェースから発売されました。
石油原料を使わないこの製品は、アパレル業界で大きな話題となりました。
開発したのは、ノース・フェースを手掛ける、スポーツアパレル大手のゴールドウインと、バイオベンチャーのスパイバー。
スパイバー代表は、大学生時代にクモの糸が強靭である事をヒントに、クモの糸と同じタンパク質を、人工的に作り出す研究を始めます。
そして、石油に頼らずパフォーマンスの高い材料が作れたら、世界を大きく変えられると思っていました。
因みに、クモが生成する牽引糸は、アラミド繊維や炭素繊維に匹敵する強度で、ナイロンなどを上回る伸縮性、300°Cを超える耐熱性があり非常に軽量です。
それでは、人口タンパク質・クモの糸ができるまでの、過程を見てみましょう!
人工タンパク質・クモの糸ができる過程
画像:スパイバー㈱資料を引用
クモの糸の過程は、微生物を使い、タンパク質を生成させ糸を作り、繊維にします。
また、その素材を加工すれば、衣料品のみならず、車のドアやシートなどにも応用ができます。
人工タンパク質素材の開発を進めている企業は、スパイバーの他に、米国のボルトスレッズ、人工レザーを展開する、モダンメドウなどがあります。
いずれも商業生産の開始前に、数百億の資金調達をし、新興バイオテック企業として、投資家の間でも注目を集めています。
その中でもスパイバーは、出願中のものも含め、220の特許を取得しており、技術的にも大きくリードしています。
そして先日、ゴールドウインとスパイバーは、海洋汚染物質を出さないフリースの発売を計画。
開発の初期段階ですが、フリース素材にするのに最適なタンパク質を探し、発売したいとしています。
また、フリースと併用しウールやファー、ダウンなどの動物由来の天然素材も、人口タンパク質に置き換える開発に着手しています。
ゴールドウインでは、ザ・ノース・フェイスを主力とした、機能性の高いアウトドア用品を展開してきました。
今後もアウトドアライフが充実するには、自然環境の存続がとても重要だと考えています。
その為にも、自然界に配慮した素材や商品開発が必要不可欠だと判断し、開発に注力しています。
※人気有名人の環境に配慮したファッションブランド
人気有名人が手掛ける!サステイナブルなファッションブランドとは?
をご覧ください
まとめ
これまで難しいとされていた、服から服のリサイクル。
そして、石油にかわって、地球上に豊富に存在するタンパク質でつくる繊維。
様々なテクノロジーを駆使して、サステイナブルな未来への研究開発が行われています。
デザインも美しく機能的で、なおかつ環境に配慮したファッションが、これからのトレンドとなっていくでしょう。