2019年11月、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)がアメリカのティファニーを162億ドル(約1兆7496億円)で買収。
ファッション業界、史上最高額での買収のニュースに、世界に衝撃が走りました。
LVMHの会長兼CEOはベルナール・アルノー。
ティファニーの買収によって、世界の資産家ランキングで
1位アマゾンCEOのジェフ・ベゾス
2位マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ
に次いで3位にランクインし、その人物像にも関心が高まっています。
そこで今回は、一代でブランド帝国を築いた、ベルナール・アルノーについて深堀りしてみたいと思います!
ティファニー買収につきましては
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Contents
ベルナール・アルノーとは?LVMHの会長兼CEOを深掘り!
”カシミアを着た狼”
アルノーは、ラグジュアリーブランドのグローバルリーダーであり”フランス・ファッション界の帝王”と呼ばれています。
しかし、冷徹かつ攻撃的な、経営姿勢や買収戦略から”カシミアを着た狼”との異名もあります。
映画”プラダを着た悪魔”のモデルになった「VOGUE」編集長 アナ・ウィンターみたいですよね。
ラグジュアリーブランドに関しましては
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アルノーは、1949年生まれ
フランス北部出身の、現在71歳です。
家族は、奥様と5人のお子さんがいます。
若い頃は、ピアニストを目指していましたが、やがて祖父の起業した建設会社を継ぎます。
その後アメリカに移り住んだある日、ニューヨークのタクシー運転手に、アルノーは尋ねます。
「フランスの大統領を知ってる?」
運転手は
「大統領は知らないけど、クリスチャン・ディオールなら知ってる」
と答えたそう。
この何気ない会話が、現在のLVMHを生んだとアルノーは語っています。
一国の大統領よりも、影響力のあるラグジュアリーブランドに、興味を抱いたのかも知れません。
その後の1984年、フランスに帰国。
売りに出ていたクリスチャン・ディオールを保有していた、マルセル・ブサック・グループを、自身の不動産業を担保に、買収します。
そして、次に目をつけたのが、LVMHが経営権をもっていた、ディオールの香水部門。
ヴィトンとモエのトップが争っている事を知ったアルノーは、ヴィトンのトップと手を組み、モエのトップを追放します。
しかしその後は、ヴィトンのトップも、退任に追い込んでいくのです。
最終的にアルノーがLVMHの筆頭株主となり、支配権を握りました。
このような巧妙な手口が”カシミアを着た狼”と呼ばれる由縁かも知れません。
この買収で拍車のかかったアルノーは、様々な欧州のトップブランドを、次々に買収していきます。
2011年に話題となったのが、イタリアを代表するジュエリーブランドの「ブルガリ」
その後は、有名ホテルや豪華列車のオリエントエキスプレスなども買収。
LVMHは現在75のブランドを、傘下に収めています。
LVMHの代表的なブランドを見てみましょう
服飾・レザー
ルイ・ヴィトン ・セリーヌ ロエベ ・クリスチャン・ディオール フェンディ ・ケンゾー ジバンシー ・リモワ ロロピアーナ ・エミリオ・プッチ |
時計・ジュエリー
ブルガリ ・ショーメ
ウブロ ・タグホイヤー |
ワイン・スピリッツ
モエ・エ・シャンドン クリュッグ ヴーヴ・クリコ ドン・ペリニヨン ヘネシー オールドパー ジョニーウォーカー |
その他
セフォラ ディー・エフ・エス チプリアー二ホテル オリエントエキスプレス |
ブランドの店舗数は、世界68カ国に4590店舗あります。
今でもアルノー自身が、月に1度は自家用ジェットで店舗に足を運び、ディスプレイをチェックして販売員に提案したりしています。
LVMHの株価と業績は?
LVMHの会長に就任してから30年経ちますが、同グループは毎年増収増益を記録。
株価もこの4年で3倍近くに跳ね上がりました。
しかしアルノーは「LVMHの時価総額は、2140億ドル。まだまだソフトウエアの巨人の、1.1兆ドルには及ばない」と語っています。
2140億ドルと言えば、フランス企業史上最大の時価総額。
欧州の中では、スイスのネスレとロッシュ、オランダのロイヤル・ダッチシェルに次ぐ、4位に君臨しています。
アルノーの後継者問題も気になりますが、すでに5人の子供のうち4人がLVMHで働き、手腕を発揮しています。
最後にアルノーはブランドについて
「ブランドを愛している人を裏切らないという約束。顧客との信頼がなにより大切」と語っています。
どんなに優れた製品であっても、ファンとの信頼関係がなければ、継続する事はできません。
カシミアを着た狼は、そんな本質を誰よりも、熟知しているのかも知れませんね。
今回はベルナールアルノーについて、深堀りしてみましたがいかがでしたか?
ラグジュアリーブランドの戦い、LVMH帝国の今後の動向にも注目していきたいと思います。