高級ファッションブランドと言えば、どんなブランドを思い浮かべますか?
ルイヴィトン・クリスチャンディオール・グッチ・フェンディなど。
伝統とクオリティーの高さで、世界中で愛され、ラグジュアリーブランドとも呼ばれています。
ちなみにラグジュリー(Luxury)とは、高級や贅沢、豪華という意味です。
これらのブランドが、世界を代表するコングロマリット(複合企業)の傘下であることはご存知ですか?
高級ブランドを傘下に置く、世界3大ラグジュアリーブランド企業について、今回解説してみたいと思います。
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”世界NO.1ラグジュアリーブランド企業は?”
モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)
世界のラグジュアリー企業の代表格と言えば、フランスのパリに本拠地を置く
モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)です。
1987年に設立され、現在では約70のブランドを保有しています。
2018年の通期決算も好調で、前期比9.8%増の468億ユーロ(約5兆8032億円)の売上高でした。
具体的にどんなブランドが、傘下にあるのかを見てみましょう。
旅行用トランクの製造から始まった、ルイヴィトンをはじめ、クリスチャンディオールやフェンディ、セリーヌなど。
伝統もあり、ユニークで洗練された、ファッション業界をけん引する一流ブランドの数々。
また、日本を代表するファッションデザイナーで先駆者の高田賢三。
彼が創業し、世界で人気を博したブランド、ケンゾー(KENZO)も1993年から、LVMHの傘下にあります。
高級ジュエリーでは、ブルガリやショーメ、時計のタグ・ホイヤーなど。
化粧品や香水などを扱っている、セフォラ「SEPHORA」や、海外の免税店「TギャラリアbyDFS」も傘下です。
そして合弁し社名にもなっている1743年創業の、老舗シャンパンメーカーモエ・エ・シャンドン(MOET&CHANDON)
シャンパンの生産量や出荷量は、世界でも最大規模を誇ります。
有名な高級シャンパンブランドの、ドン・ペリニヨンも製造しているメーカーです。
もっとも早く日本でシャンパンを浸透させ、世界一有名なシャンパンメーカーとも言えるでしょう。
この他のお酒では、コニャックのヘネシー、ウイスキーのグレンモーレンジィやアードベッグなど。
お酒好きの方なら、ご存知の銘柄ばかりです。
LVMHは伝統やブランドイメージを大切にしながら、多種多様なグローバル企業として、成長し続けています。
※LVMHの会長ベルナール·アルノーに関しましては
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ケリング(KERING)とは?
LVMHと同じくフランスのパリを本拠地とし、創業は1963年のファッション業界大手企業のケリング(旧PPR)
1999年にグッチを買収してから、イヴサンローラン、ボッテガヴェネタ、バレンシアガなどを傘下に持っています。
高級宝飾品では、1858年創業の老舗のブシュロンやポメラート。
2007年には、53億ユーロ(約8480億5300万円)でドイツのスポーツブランド、プーマも買収しました。
しかし近年は、ラグジュアリーに注力するとの方向性を示し、プーマの株の保有比率を86.3%から16%まで、引き下げています。
2018年12月のケリングの通期決算の売上高は、前年比26.3%増の136億6520万ユーロ(1兆6944億円)
特にグッチは好調で、売上高を1年で28億ユーロ(約3472億円)も伸ばしました。
老舗ブランドの多いラグジュアリーセクターの中で、類のない成長率で話題の企業となりました。
リシュモン(RICHE MONT)とは?
ラグジュアリーブランド市場において、スイスを拠点とするリシュモン。
設立は1988年で、高級宝飾ブランドの、カルティエやヴァンクリーフ&アーペル。
服飾ではクロエやダンヒルなどが、傘下にあります。
しかし、この企業の最大の特徴は、スイス製品を代表する、高級腕時計が傘下に多い事。
世界三大腕時計の一つと称される、ヴァシュロンコンスタンタンに、IWC、ボール&メルシェ、ピアジェ、ジャガールクルトなど。
※カルティエ、ジャガールクルトに関しましては
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リシュモンの売上げの約半分は、高級時計。
スウォッチに次いで、世界第2位のシェアを誇ります。
万年筆やボールペンで有名なモンブランも、傘下になった事で1997年より腕時計の販売を始めました。
リシュモンは、時計に代表される特殊な技巧や精密さなど、他国にはできない付加価値で、長年事業を展開してきました。
華やかに見える業界ですが、着実に製品技術やブランド価値を高め、独自路線で成長し続けています。
そして、ラグジュアリーブランド中でも、確固とした独立経営を貫いているブランドもあります。
馬具工房として1837年創業されたエルメスや、シャネル、ティファニー、ロレックスなど。
どれも人気有名ブランドですから、常に買収やM&Aの標的にされています。
※ティファニーに関しましては
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ラグジュアリーブランドの多くは、ヨーロッパが発祥です。
なぜ、ヨーロッパにラグジュアリーブランドが多いのでしょう?
国民の芸術や技術に対する意識が、非常に高いからです。
ヨーロッパの街並みを見てもわかりますが、歴史的建造物や文化が、長年守られています。
ラグジュアリーブランドは、高価な物を所有するステータスだけを、発信しているのではありません。
芸術や文化の集合体として、つねに製品の価値を高める努力もしています。
オリジナリティーがなく、低価格で競い合う製品には、いずれ陰りが見えてきます。
本当に良い製品は、歴史や信用と共に、付加価値や希少価値が生まれます。
現在、世界各国をはじめ、日本に56店舗を構えるルイヴィトンにも、苦難の時代がありました。
第二次世界大戦争の影響で、海外の店舗が閉鎖に追い込まれたのです。
国内の営業も、パリとニースの2店舗になってしまいました。
そんな状況下で1978年に海外1号店として出店したのが、日本でした。
”なぜ、日本だったのでしょう?”
ルイヴィトンの製品には、古くから日本との深い繋がりがありました。
市松模様をイメージしたダミエや、日本の家紋からインスピレーションを受けて作製されたとされる、モノグラム。
これらのデザインやブランドストーリーが、日本人の心を掴みました。
その後の10年間でルイヴィトンは、日本での出店数を増やしていきます。
ルイヴィトンは、日本で成長し愛された、ラグジュアリーブランドと言ってもよいでしょう。
※ルイヴィトンに関しましては
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日本には 現在、100年以上続く老舗企業が、全国に約3万3000社あります。
これは他国と比較しても、圧倒的に多い数字です。
しかしグローバルなラグジュアリーブランドが少ないのが現状です。
他国に比べ、日本人の芸術と技術を育む環境が、足りないことが原因のひとつとも言われています。
また、高品質な物作りだけではなく、購買意欲を掻き立てるストーリーも、世界に発信していくことが重要です。
今回は、ラグジュアリーブランド企業の世界について、解説してみましたがいかがでしたか?
まとめ
ラグジュアリーブランド企業は、膨大な資金で、広告宣伝やマーケティングを行い、伝統や技術を継承しながら成長し続けています。
日本でラグジュアリーブランドを育てるには、国民の芸術や文化を継承させていく意識が大切です。
そして品質だけではなく、心を掴むようなストーリーや、インパクトのあるモノづくりも重要です。