アパレル産業の世界的な社会課題のひとつが、衣料品の大量廃棄問題。
日本のアパレル産業でも、年間廃棄される衣料品の量は、約100万トンと言われています。
枚数で換算すると約33億着にも及びます。
そんな中、ファッション大国フランスでは、今年の1月から世界初となる衣料品の”廃棄禁止法”の法律が施行されました。
そこで今回は、フランスの衣料品の廃棄禁止令と、アパレル産業の今後について考えてみたいと思います!
Contents
世界初!ファッション大国フランスが衣料品の廃棄禁止法を施行
衣料品の廃棄禁止法とは?
フランスで施行された世界初の「衣料品廃棄禁止法」とは、企業が売れ残った新品の衣料品を、焼却や埋め立てによって廃棄することを禁止するという法律です。
売れ残った衣料品には寄付やリサイクルが義務づけられ、違反した場合には最大15,000ユーロ(約190万円)の罰金が科せられます。
この法律は、2020年2月10日にフランス国会が「サーキュラー・エコノミーを促進するための法律」で公布されました。
この他には、靴や化粧品、本や家電の廃棄禁止。
廃プラスチック類に関する規制や、製品保証期間の義務化。
家電製品に対する修理可能性指数の表示の義務化など。
大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会構造を是正することを目的に、制定されました。
※フランスの修理可能性指数についてはこちらをご覧ください↓
この法律は、捨てる文化への脱却を目指すフランスのみならず、環境問題への意識の高いヨーロッパに広がっています。
他国でも今後、衣料品廃棄禁止法を導入予定
フランスの衣料品廃棄禁止法と同様の規制は、2023年にオランダでも導入予定で、SDGs先進国のスウェーデンでも、2024年の1月から施行されます。
その他にはブルガリア、イギリス、スペインのカタルーニャ州も、同様の法案作成に現在、取り組んでいます。
果たしてこの法律で、アパレル産業の流れはどう変わるのでしょうか?
フランスの衣料品在庫の廃棄禁止法、アパレル産業の流れはどう変わる?
廃棄禁止法後のヨーロッパでの流れをみて、数年後には、日本でもこのような法律や規制などが施行される可能性は充分にあるでしょう。
しかしこの法律は、焼却処分の時に排出される、CO2を削減することも目的ですが、真のねらいはアパレルメーカーの、過剰生産を適量生産へ促すことです。
なぜなら、廃棄の工程での環境負荷よりも、生産工程での様々な環境負荷の方がはるかに高いからです。
生産工程では、資源の大量消費や海洋汚染、土壌汚染の問題など、社会課題が山積しています。
※アパレル産業の製造工程での社会課題については
をご覧ください
つまり、問題の大本の生産量をまずは減らすことで、社会課題を軽減することができるのではないでしょうか?
アパレルメーカーは、適量生産で売れ残りを防ぐためにも、消費者のニーズを捉えた商品開発や、DXなどの導入で在庫の管理システムの流れを加速させるでしょう。
また、アウトレットやオフプライスストア、メルカリなどの2次流通市場は、さらに拡大していくと思います。