ブロックチェーンと言えば、ビットコイン(暗号資産)取引を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
しかし、ここ数年、ルイヴィトンやプラダなどが、次々にブロックチェーンを導入し始めています。
なぜ、大手ラグジュアリーブランドがブロックチェーンを導入するのか?
その背景には、長年ラグジュアリーブランドが抱える社会問題がありました。
そこで今回は、ラグジュアリーブランドのブロックチェーン導入について、迫ってみたいと思います!
Contents
LVMHやプラダなどがブロックチェーンを導入!その目的と社会問題とは?
ブロックチェーンとは?
まずは、ブロックチェーンについて簡単に確認しておきましょう!
ブロックチェーンについて調べてみると「分散型台帳技術」と呼ばれる技術の一つとありました。
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全部漢字で中国語みたい!!と思いましたが、下のイラストで解りやすく説明してみますね。
ブロックチェーンとは
「同じ情報をそれぞれのパソコンで保有し確認できること」です。
ブロックチェーンの特徴もまとめてみました。
ブロックチェーンの特徴
1.自立分散型 情報を1箇所にまとめるのではなく、共同で管理する
2.情報の透明性 それぞれの取引履歴など情報を共有・確認ができる
3.システムダウンが起きない ハッキングなどで一部が停止しても、全体への影響は少ない
4.データの改ざんが非常に困難 共同管理なので、記録を改ざんするのが難しい
つまりブロックチエーンは「取引の記録を残し共有することができて、システムダウンや改ざんリスクが低いシステム」ということです。
ブロックチェーンを理解したところで、LVMHのブロックチェーンについて見てみましょう!
LVMHがブロックチェーン「Aura」設立を発表
2021年4月20日、LVMHはプラダとリシュモン傘下のカルティエと共同で、初のグローバルラグジュアリーブロックチェーン「Aura(オーラ)」設立を発表しました。
競合他社とのコラボレーションは、信頼性、責任ある調達、持続可能性に関する情報を安全なデジタル形式で送信するという共通課題のための、独自の革新的なソリューションにするためです。
カルティエの他には、ディーゼル・メゾン マルジェラ・マルニ・ジル サンダーなどを擁するOTBグループとメルセデス・ベンツも加盟しています。
※LVMHについては
をご覧ください
Aura導入の目的とは?
その①コピー商品(模造品)の撲滅
2021年に財務省が発表した「令和2年の税関における知的財産侵害物品の差止状況」では、人気ブランドのコピー商品などを税関で発見し、輸入の差し止めを行った件数は約3万件でした。
また、こうしたコピー商品業者が稼ぎ出した金額は、世界で年間推定おおよそ5000億ドル(約72兆円)に達します。
輸出国では中国が最も多く、全体の85.2%、次いでベトナムやシンガポール、フィリピン等が挙げられます。
特に ルイヴィトンはコピー商品が多く、撲滅対策費に年間1500万ユーロ(約21億円)以上を投じています。
ルイヴィトンは1896年にLVモチーフのモノグラムキャンバスを誕生させましたが、当時はコピー商品対策のため、職人がひとつひとつ、手描きで施していたほどです。
※ルイヴィトンの歴史については
をご覧ください。
現代になっても、ラグジュアリーブランドのコピー製品は跡を絶ちません!
今回発表したAuraでは、材料の原産地から販売時点、中古市場に至るまでの製品情報を追跡出来るシステムになっています。
消費者も商品が正規品であることを確認することができるので、これまでより安心して購入することができるのではないでしょうか。
その②ブランドの生産過程の透明性
現在、アパレル産業の生産工程での環境負荷への問題や、働く人の労働問題や人権問題などが大きな社会問題になっています。
SDGsへの関心も高まる中で、Auraは消費者に高いレベルの透明性とトレーサビリティを提供しています。
※トレーサビリティについては
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生産工程などの情報は、消費者がブランドの公式アプリを使用することで、製品に関する詳細を記載した証明書も入手できる仕組みになっています。
また、ブランド側は、消費者に製品のお手入れ方法の確認、保証サービスの表示、アフターセールスを受けられる仕組みや、素材の品質、職人技術、独自のストーリーなども伝えることで、顧客とブランドとの関係強化を図っています。
今回は、ラグジュアリーブランドのブロックチェーン導入の背景に迫ってみました。
ブロックチェーンの活用で絶えないコピー商品や、生産工程での環境負荷や人権問題への解決に繋がることを願います。