繊維業界では、再生繊維にヴィーガンレザーなど、環境負荷に配慮した素材開発が進められています。
また、宝飾業界では、環境や人権問題に配慮した、合成ダイヤモンドが注目されているのをご存知でしょうか?
今回は、エシカルなジュエリーで人気の、合成ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)について解説したいと思います。
※ウィーガンレザーに関しましては
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Contents
”エシカルなジュエリー、合成ダイヤモンドとは?”
合成ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)とは?
合成ダイヤモンドがどんなものなのか?
まずは、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの特徴を見てみましょう!
天然ダイヤモンド・特徴
長い年月をかけて自然界で生成される
採掘するのに手間がかかる
希少性があり、高級品
屈折率が高く、強い輝きを放つ
硬く熱伝導率性が高い
合成ダイヤモンド・特徴
室内の製造所にて人工的に生成、数週間程度で安定的に生産できる
原料をはじめ化学成分、物理的特性、結晶構造、光学的特性が天然ダイヤモンドと同じ
価格が天然ダイヤモンドの10分の1
様々な大きさや色のダイヤモンドを自在に生成できる
硬く熱伝導性が高い
合成ダイヤモンドは、長年の研究や科学の発展により、人工的に生成することが可能になったダイヤモンドです。
真珠で例えるなら“養殖のダイヤモンド”と言っても良いでしょう。
合成ダイヤモンドはこれまで、天然ダイヤモンドの特徴でもある、硬さと熱伝導性があり、価格も安く安定的に供給できる事から、工業用、医療用途として使用されてきました。
そして現在は、見た目の美しさも、天然ダイヤモンドに劣らないレベルに合成技術が進化し、ジュエリーとしても生産されるようになりました。
また、合成ダイヤモンドが注目されている背景には、天然ダイヤモンドの生産過程における、社会問題や労働問題などがある事をご存知でしょうか?
天然ダイヤモンドの生産過程における社会問題・労働問題
紛争ダイヤモンド(ブラッド・ダイヤモンド)問題
主な産出国である、アフリカなどの内戦地域では、天然ダイヤモンドが外貨獲得の貴重な資源になっています。
そしてこの資金は武器購入に使われ、紛争を長期化、深刻化させる要因にもなっています。
この問題を撲滅するため、キンバリー・プロセス認証制度(天然ダイヤモンドの原石が紛争に関わらない事を証明する国際認定制度)が確立されました。
認証制度によって、一定の効果は得られましたが、未だに非公式な鉱山などもあり、多くの課題を抱えています。
環境問題
天然ダイヤモンドは発掘するのに大規模な鉱山開発を必要とします。
良質なダイヤモンドを1カラット発掘するのに、250万トンの土を掘ると言われています。
これは生態系の破壊に繋がる可能性も高く、またその際に排出される二酸化炭素や、使用される水の量も非常に多いのが問題となっています。
労働環境・児童労働
アフリカのダイヤモンド鉱山、インドのダイヤモンド研磨工場では、強制労働・児童労働が行われていると報告されています。
ダイヤモンド鉱山では、子供達が50kg~60kgの砂利を鉱山から選別場に運ぶ仕事や、選別場で泥さらいをし、その中から小さなダイヤモンド原石を探す仕事をしています。
無数の穴にたまった浅い水の中での作業では、多くの人がマラリアに掛かったり、穴をどんどん深く掘っていくため、転倒して負傷したりしています。
また、ダイヤモンドを巡って、争いに巻き込まれて殺される危険性もあります。
一方、インドの研磨工場では、ダイヤのカットの品質を高めるために、視力の良さと器用な手先が必要なことから、多くの子供がこの作業をしています。
しかし、薄暗く換気口もない狭い工場の中で働く子供たちの多くは、健康被害のリスクを背負っています。
たとえば、研磨に使用される研磨剤は、酸化クロムとダイヤモンドパウダーを混合したもので、長時間にわたり肌に直接触れると、人体に非常に有害な影響をもたらします。
また、働く子供達の多くは、両親を失った孤児や家計を助けるため働いていますが、公正な賃金が支払われないなどの問題も起きています。
なぜ、合成ダイヤモンドがエシカルなジュエリーなのか?
合成ダイヤモンドは、紛争資金としても使用されず、また鉱山を持つ必要もないので、危険な労働もなければ、児童労働もありません。
そして何よりサプライチェーンも明確なので、エシカルなジュエリーと言われています。
今回は、エシカルなジュエリー、合成ダイヤモンドについて解説しましたがいかがでしたか?
天然ダイヤモンドでも、環境に配慮したダイヤモンドを採掘する鉱山もあります。
また、児童労働は排除、労働環境を整え、トレーサビリティを徹底し、キンバリープロセスを上回る対応をしているブランドもあります。
まず大切なことは、消費者である私たちが、商品の背景にある社会問題に目を向けて、エシカルな視点で商品を選択することが重要なのではないでしょうか?
※トレーサビリティに関しましては
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